トラウマからの解放  

 記憶を書き換えるなんて出来ない相談だと言うのが常識でした。私もEMDRの存在を知るまで考えもしませんでした。
知人が突然、身体の不調に見舞われ、身体のどこに原因があるのだろうかと不安にさいなまれる姿に心を痛めてきました。
精神安定剤(デパスやアモンキ酸など)の服用によって徐々に身体の不調が減っていくのを見て、
薬の服用で対処するしかないのかと半ばあきらめ気味でした。いつかは克服できるだろうと自分に言い聞かせてきました。
 ところがこの度のNHKが2度にわたって放映してくれた「トラウマからの解放」を見て「これだ!」と思いました。

 記憶は書き換えられる
 過去の記憶を現在の記憶として書き換えることが出来る。 
 記憶を失うまで解放されないのか!  

 知人のトラウマの原因は複雑多様ですがほぼわかっています。 幼少期に起こったことや、何年何十年前に起こった事件など、いろいろあります。 忘れようとしてもけっして忘れられない記憶です。悪いことにはその知人の記憶力は父親が陸軍で暗号部員をしていた事実を見ても並外れているのです。 ですから「過去の記憶を忘れなさい」と言われても全く不可能で、思い出す度により深く記憶されてしまいます。
 
 記憶は消せない
 記憶を完全に消すことは出来ません。消す必要もありません。
 眼球を素早く左右に動かす

 EMDR療法とは被験者がカウンセラーの手の指を眼球だけで追いかけるという極単純な内容です。眼球を左右に動かすだけでいったいどんな効果があるというのか。私は即座に納得できました。
 訳があって私は1日2時間近くバイクに乗る必要があるのですが、ヘルメットをかぶりハンドルにしがみついていると前方や後ろを視認するのにいちいち首を振るわけにはいきません。 自ずと眼球運動だけで交通状況を掌握しなければならないのです。自動車運転が主の現在でも16才で小型自動2輪免許を取得して以来バイクに乗ることを欠かしたことがありません。 若いときならいざ知らず50を過ぎてからバイクに乗るなんて危ないと注意されますが、乗用車より気軽なのでついつい乗ってしまいます。
 私がEMDR療法がすばらしいと直感できたのはこのバイク乗りのおかげでした。

 手の指を追いかけるだけ
 カウンセラーの手の指を眼球だけで追いかける。その間に思い浮かべたことが今体験している事として海馬に一時記憶される。
 バイクの運転がヒント?  

 どういうことでしょうか。「トラウマからの解放とバイク運転が関係している?そんな馬鹿な」と言われてしまいそうです。 年をとってからは昔のように頻繁にバイクに乗るわけもなく、もっぱら乗用車のシートにもたれて応接間にいるような感覚で高速移動機械を操縦しています。 左右や後ろの交通状況は首を動かして見ています。当たり前です。目だけを動かして車を運転している人など皆無ですね。
  私も長年眼球を動かさずに生活してきました。パソコンのディスプレーを見るときも眼球はさして動かしません。 ある番組で、年をとると増々眼球を動かさずに生活するようになりいろんな身体的問題が起こってくるといっていたことを思い出しました。NHKだったか民放だったか思い出せませんが納得のいく内容でした。
 で、何を感じたかと言いますと、歳と共に頭の回転が鈍くなり、物忘れも多くなってきていたのに、毎日2時間近くバイクに乗るようになってからは今までとちょっと違うなと感じたのです。 元々物忘れが得意だったので傍目には差が無いようなのですが、自分としては乗用車運転時の頭の反応が若い頃のように回復してきているのです。 以前は信号を見落としそうになったり、右左折時に自転車に気づくのが遅れたりとひやひやする瞬間が多かったのに現在は危険な状況がほとんど無くなりました。
  眼球を動かすと脳が活性化することを自分の中で証明できた思いです。

 
 年配者は眼球を動かせ 
 歳とともに眼球を動かさずに物を見るようになるので増々脳の働きが鈍くなります。眼球を動かして若さを取り戻しましょう。
 

 覚えやすい
 電話番号などの単純な数字を覚える時、なかなか記憶できませんが、眼球を左右に動かしながら数字を頭に思い描くと覚えやすく、消えてしまうまでの時間も長くなります。一度試してみてください。
 
  脳が記憶する映像は?
 
 顔にかぶるお面の話があります。 最初は面の表側を見ています。顔そのものです。その面を水平方向に回転させて裏側を見せていきます。あれ、裏返ったのにやはり立体的な顔がありました。 鼻はこちら側に突き出し口はへこんでいます。ところが実態はへこんだ部分に目や鼻や口を書いてあるだけで鼻は前に出ていません。  脳は、顔というものは鼻が前に突き出た立体だと記憶しているので、へこんだ顔を見ても頭の中には鼻の突き出た顔として思い描きます。 だから脳に記憶されるのは実際の映像では無く、脳が勝手に作った創作物なのです。  このように「目」は真実を見ているのでは無く、目の持ち主が思っていることを実際に見ている映像かのごとく記憶回路に伝送しています。

 実際の映像では無い
 脳は今実際に目に映っている映像を記憶するのでは無く、「思い」を付加して記憶している。